誰かも相手に言わずにいきなり相手の名前を呼んだら、相手はびっくりするに決まっている。
非常識なのは私のほうだ。
心の中でそうつぶやきながら、沖田くんに向かって笑顔を浮かべる。
「ごめん、驚かせて。ほら、修学旅行のグループ行動で偶然会った隣のクラスの……」
「あっ……!」
最後のひとことを口にした瞬間、沖田くんはさらに目を見開いた。
しかし、その表情は驚きからではなく、なにかを思い出したかのようなものだった。
指をぷるぷる震わせ、人さし指で私を指さす。
「まさか、片桐さん……?」
めずらしい。
普段は冷静で落ち着いた雰囲気を持つ沖田くんが指を震わせるなんて。
びっくりした顔も見たことないけど、指を震わせる姿を見るほうがレアだと思う。
沖田くんファンの女子たちも、沖田くんのクラスの男子でさえも、なかなか見られない姿だろう。
クスッと小さく笑い、こくんとうなずいた。
「うん、私は片桐茅乃だよ」
非常識なのは私のほうだ。
心の中でそうつぶやきながら、沖田くんに向かって笑顔を浮かべる。
「ごめん、驚かせて。ほら、修学旅行のグループ行動で偶然会った隣のクラスの……」
「あっ……!」
最後のひとことを口にした瞬間、沖田くんはさらに目を見開いた。
しかし、その表情は驚きからではなく、なにかを思い出したかのようなものだった。
指をぷるぷる震わせ、人さし指で私を指さす。
「まさか、片桐さん……?」
めずらしい。
普段は冷静で落ち着いた雰囲気を持つ沖田くんが指を震わせるなんて。
びっくりした顔も見たことないけど、指を震わせる姿を見るほうがレアだと思う。
沖田くんファンの女子たちも、沖田くんのクラスの男子でさえも、なかなか見られない姿だろう。
クスッと小さく笑い、こくんとうなずいた。
「うん、私は片桐茅乃だよ」



