影と闇

『そんな格好じゃ、私だけじゃなくて茅乃にも笑われるかもよ?』


蘭子に自分の格好を見て笑われるならまだマシ。


だけど、イメチェンに成功した私に自分の格好を見て笑われるのは、末那にとって耐えられないことだろう。


でもごめんね、末那。


悪いけどその格好、笑いそうになっちゃうよ。


笑ったら余計に傷つくかもしれないので、口に出して言うことはしない。


私が笑わないでいる代わりに、私以外のクラスメイト全員がクスクスと笑った。


「たしかに。なにあの格好」


「ヤマンバとか笑える」


「笑う以外どうしろっていうの? ウケる……」


「頭おかしくない? たとえヤマンバの格好が流行してたとしても、変でしかないよな」


他のクラスメイトも、末那の今の格好で笑っちゃうんだ。


清純な雰囲気の末那が突然ズタボロな制服を着てヤマンバのような見た目で登校しても、笑わない人なんていないんだ。


親友の豹変ぶりに、複雑な感情が芽生えた。


修学旅行以前までの末那がいないことをまのあたりにしてショックを受ける自分と、自分よりも劣った格好の末那を見て滑稽だと思ってしまう自分がいた。