よくそんな格好して誰にも注目されずに済んだな、と思ってしまう。
驚きでなにも言えない私に、蘭子が末那の前に立ちはだかる。
「勝手にこっちに来ないでくれる? あんたが来たら私たちの空気が汚れる」
末那に対して上から目線でものを言う態度も相変わらず。
ただ、末那の見た目がすごいことになっているせいか、口調は若干やわらかい。
鼻で笑って『ざまぁみろ』と言っている感じ。
そんな蘭子をスルーして、蘭子の体を手で無理やりどかし、私のほうにやってくる末那。
自分がスルーされたせいか、末那が自分の言うことを聞かなかったからかわからないが、末那にどかされたときの蘭子の表情が怖い。
どちらも鬼を思わせる表情をしていて、背中に変な汗が流れるのを感じる。
と、そのとき。
末那が体をぷるぷると震わせ、片方の手で握り拳を作り、目を伏せた。
私にしか聞こえないくらいの声も聞こえてくる。
「なんで……なんで私だけこんな格好で……」
どんな顔をしているかわからないが、だいたい想像はつく。
泣いているのだろう。
驚きでなにも言えない私に、蘭子が末那の前に立ちはだかる。
「勝手にこっちに来ないでくれる? あんたが来たら私たちの空気が汚れる」
末那に対して上から目線でものを言う態度も相変わらず。
ただ、末那の見た目がすごいことになっているせいか、口調は若干やわらかい。
鼻で笑って『ざまぁみろ』と言っている感じ。
そんな蘭子をスルーして、蘭子の体を手で無理やりどかし、私のほうにやってくる末那。
自分がスルーされたせいか、末那が自分の言うことを聞かなかったからかわからないが、末那にどかされたときの蘭子の表情が怖い。
どちらも鬼を思わせる表情をしていて、背中に変な汗が流れるのを感じる。
と、そのとき。
末那が体をぷるぷると震わせ、片方の手で握り拳を作り、目を伏せた。
私にしか聞こえないくらいの声も聞こえてくる。
「なんで……なんで私だけこんな格好で……」
どんな顔をしているかわからないが、だいたい想像はつく。
泣いているのだろう。



