影と闇

イメチェンしたいとは思うけど、さすがに明日からというのはきつい。


すぐに計画を進めなければならないし、時間がないし。


美容室に行く目的は髪型を変えるためではなく、美容室で働く親戚の人にどんな髪型がいいかを教えてもらうためだ。


「いいサプライズになるかな?」


「なるよ! 私、高校入ってイメチェンしたの。いわゆる高校デビューね。中学が同じだった子に以前と全然違うって言われたの! それだけじゃなくて、すごくきれいになったねって!」


たしかにそれはすごい。


でもミカの場合はもともと顔立ちが整っていたから、イメチェンしたあと『きれいになったね』と言われるのは当然だ。


私はお世辞にもきれいとは言えない見た目だ。


美人でもない私がイメチェンしても、クラスメイトが驚くことはない。


末那がイメチェンしたら驚くかもしれないけど。


「ねっ、明日学校でみんなをびっくりさせようよ。みんなのびっくりした顔、見たいでしょ?」


見てみたいかと聞かれたら、見てみたい。


たとえイメチェンが失敗したとしても、それは変えようのない事実。


失敗するリスクはある。


だけどそれと同時に、成功する確率も同じ確率である。


だったら……。


「見てみたい。もう二度と地味子なんて言われたくないよ!」