影と闇

私が我慢?


蘭子の言葉の意味がよくわからなくて、頭上にクエスチョンマークを浮かべていると、蘭子が笑いはじめた。


『あはは、その顔は自分の身になにがあったのかわかってない感じだね〜。そうだよね、昨日のことを忘れてるなんて当然だもんね〜』


なにがおかしいんだろう。


頭上に浮かべるクエスチョンマークは増えていくばかりだ。


でもこれ以上疑問を感じていたら、彼女を本気で怒らせてしまうかもしれない。


そう思った私は自分なりに笑ってみせた。


『そ、そうなの。昨日のことをまったく覚えてなかったんだ。私ってば本当にバカだよね』


蘭子に向けて放った言葉は、なぜか自分の心の傷をえぐった。


なんで自分の言葉で勝手に傷ついてるの?


なんだかため息をつきたくなった。


勝手に傷ついている私を尻目に、蘭子が私の肩をパシパシと軽く叩いた。


『そんなことないって。片桐さんがバカじゃないってこと、十分わかってるから!』


いや、そういうことじゃなくて……。


蘭子にそう言おうとしたそのとき。


向こうから、昨日蘭子に足蹴にされた子の姿が映り、私の鼓動が高鳴った。


『あ……!』