影と闇

ここなら、数日前に行った服屋さんにはなかったアイテムが見つかるかもしれない。


その服屋さんは町で一番のファッション専門店という看板を持っているが、それを軽く超えるほどのアイテムの数に圧倒される。


「それじゃ、茅乃が似合いそうなアイテムを見つけたら茅乃に見せて! それで試着してもらって、私がジャッジしよう!」


手をグーにして拳を作り、それを天井にかかげる蘭子。


私は乗り気じゃないが、蘭子と同じテンションの理子ちゃんが「おーっ!」と元気よく言っているのを見ると、止められない。


ふたりを止めてもムダな気がする。


ため息をつき、ふたりから離れる。


適当に店内を歩きまわるが、これだ、と思うアイテムがなかなか見つからない。


もうあきらめようかな。


店内を歩きまわりはじめてからわずか数分で早くもあきらめモードの私。


いっぽうのふたりはというと。


「う〜ん。これも似合うだろうけど、こっちもいいんだよな……」


見つけた2着の服を交互に見て、うなり声をあげ悩む蘭子。


「こっちも見せてみよう。あ、買いすぎはダメだよね。予算オーバーしちゃう」


アイテムを手に取ってはしゃぎながらも、お金のことを超がつくくらい慎重に考える理子ちゃん。