影と闇

どうやら私は羞恥心を刺激されたらしい。


頬に帯びた熱を冷まそうと、もう片方の手で頬をおさえる。


なぜ私が悲鳴をあげてしまったのか。


それは、こんなメッセージが届いたからだった。


【たしかにあんたにはハードルが高すぎるよね。


こんな可愛い女の子になれるわけないよ。


他の子ならまだしも、ずっと地味子として貫きとおしてるあんたには無理でしょ】


まるで近くで蘭子との会話を聞いていたかのようなメッセージ。


本当にここに監視カメラが設置されているのではないかと思ってしまった。


昨日の夜になにが大丈夫なのかというメッセージを送ってきた人物だろうか。


確定ではないけど、送信者のアドレスが昨日送られたアドレスと一緒だったから、その人物が送ってきた可能性が高い。


「なに? どうしたの?」


動揺を隠せないでいる私を不思議に思ったのか、顔を覗き込んでくる蘭子。


悲鳴を聞かせた以上はごまかしようがないので、蘭子に送られてきたメッセージを見せた。


「じつは、こんなメッセージが送られてきたんだ……」


メッセージを見た蘭子はびっくりしている。


いつも自分の感情を表情に出す蘭子のことだから、それくらいのことはわかる。


蘭子でもびっくりすることってあるんだ。