影と闇

部屋のお風呂に入ったのだろう、髪はそんなにベタベタしていないのに、服装だけは昨日と同じようにシワだらけ。


てっきり服屋で買った服をここで着てくるのかなと思っていたけど、違ったのかな。


顔色も悪くないはずなのに、なぜか周りからの注目を集めていた。


他の生徒たちの視線は私か末那のどちらかに注がれる。


「片桐さんはおしゃれなのに、芦谷さんはまるで正反対の格好してるよね」


「顔は悪くないのにもったいない……」


「てか、こっち見てる気がして怖いんだけど」


「やめてよ、せっかくのいい日がブルーになっちゃうじゃん」


驚き、哀れみ、恐怖、軽蔑。


そんな気持ちがあらわになっているような感じ。


しかし、ぶつぶつとつぶやく生徒たちを置き去りにするかのように時間は過ぎていく。


2日目のグループ行動の時間になり、それぞれが自分のクラスのバスに乗り込む。


私は一番前の座席で、蘭子が私の隣を陣取る。


昨日とあまり変わらない席順だけど、昨日とは違う点がひとつある。


それは……。


「うわぁ、すごく可愛い! このページに載ってる子って、アイドルグループのメンバーのサリナちゃんだよね!」


「やばい、めっちゃ可愛いんだけど‼︎」


「うん。サリナちゃんも可愛いけど、他の子たちもけっこう可愛くない?」


「たしかに! 思った〜」