影と闇


☆☆☆

結局、蘭子に否定することができず、私までメイクしてもらうことになった。


メイクし終わった自分の顔を鏡で見たら、小さいころとは違う感覚がした。


まるで別人みたいだった。


一瞬、鏡に映っているのが誰なのかと蘭子に問いかけたし。


さらに髪もアレンジしてもらい、昨日とはまた違った自分を味わった。


朝ご飯を食べる前に部屋に来た理子ちゃんも「めっちゃ可愛いじゃん!」と言っていた。


【Special room】に入ると、他の生徒から異常なほど視線を集めた。


これはいいことなのか悪いことなのか。


だけど悪い気はしない。


こんなに自分がおしゃれになったのは、はじめてだと思う。


私を見て、他の生徒が驚きの声をあげる。


「あの子、5組の片桐さんだよね?」


「と思うよ。でも、一瞬だけ見てもわかんない」


「わかるわ、それ」


男子たちの声も聞こえてくる。


「えっ。あいつ、けっこう可愛くね?」


「5組の片桐だろ。顔でわかる」


「げっ、あれが片桐⁉︎」


「すげぇ……」


でも、ひとりだけ違った反応を見せた。


そう、末那だ。


末那は真正面に立って私を睨んでいる。