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結局、蘭子に否定することができず、私までメイクしてもらうことになった。
メイクし終わった自分の顔を鏡で見たら、小さいころとは違う感覚がした。
まるで別人みたいだった。
一瞬、鏡に映っているのが誰なのかと蘭子に問いかけたし。
さらに髪もアレンジしてもらい、昨日とはまた違った自分を味わった。
朝ご飯を食べる前に部屋に来た理子ちゃんも「めっちゃ可愛いじゃん!」と言っていた。
【Special room】に入ると、他の生徒から異常なほど視線を集めた。
これはいいことなのか悪いことなのか。
だけど悪い気はしない。
こんなに自分がおしゃれになったのは、はじめてだと思う。
私を見て、他の生徒が驚きの声をあげる。
「あの子、5組の片桐さんだよね?」
「と思うよ。でも、一瞬だけ見てもわかんない」
「わかるわ、それ」
男子たちの声も聞こえてくる。
「えっ。あいつ、けっこう可愛くね?」
「5組の片桐だろ。顔でわかる」
「げっ、あれが片桐⁉︎」
「すげぇ……」
でも、ひとりだけ違った反応を見せた。
そう、末那だ。
末那は真正面に立って私を睨んでいる。



