メイクか。
小さいころに一回だけ知り合いのお姉さんのを借りてしたことがあるけど、似合わなかったな。
まだメイクする年ごろではないというのもあったかもしれないが、派手になった私はいつもの地味な私より変だから、メイクしなくなったんだ。
興味がないと言えば嘘になる。
でも、メイクしたって似合わないよ。
そんなことを思いながら蘭子のメイク道具をじっと見つめていると、鏡越しの蘭子と目が合った。
「ん? なに?」
「あっ、いや、なんでも……」
不思議そうな顔の蘭子。
マズい。
これだと、私がメイク道具を見ていたことがバレてしまう。
動揺を隠せない私を尻目に、蘭子がメイク用のハケを置いて両手を叩いた。
「茅乃もメイクに興味あるんだ?」
「へっ……」
興味がないわけではない。
思っていたことを見抜いたのか、ドレッサーの鏡越しでニコッと笑ってみせる蘭子。
「ならそう言えばいいのに。ちょっと待ってね、私がメイクし終わったらメイクしてあげるから」
もう一度微笑み、再び作業を再開する蘭子。
否定できなかった。
でも、はっきりメイクしたいと伝えるより安心しているのはどうしてだろう。
まだ知らなくていいよね……。
小さいころに一回だけ知り合いのお姉さんのを借りてしたことがあるけど、似合わなかったな。
まだメイクする年ごろではないというのもあったかもしれないが、派手になった私はいつもの地味な私より変だから、メイクしなくなったんだ。
興味がないと言えば嘘になる。
でも、メイクしたって似合わないよ。
そんなことを思いながら蘭子のメイク道具をじっと見つめていると、鏡越しの蘭子と目が合った。
「ん? なに?」
「あっ、いや、なんでも……」
不思議そうな顔の蘭子。
マズい。
これだと、私がメイク道具を見ていたことがバレてしまう。
動揺を隠せない私を尻目に、蘭子がメイク用のハケを置いて両手を叩いた。
「茅乃もメイクに興味あるんだ?」
「へっ……」
興味がないわけではない。
思っていたことを見抜いたのか、ドレッサーの鏡越しでニコッと笑ってみせる蘭子。
「ならそう言えばいいのに。ちょっと待ってね、私がメイクし終わったらメイクしてあげるから」
もう一度微笑み、再び作業を再開する蘭子。
否定できなかった。
でも、はっきりメイクしたいと伝えるより安心しているのはどうしてだろう。
まだ知らなくていいよね……。



