体と髪についた泡をシャワーで流し、髪から落ちる水滴が少なくなったのを見計らい、持ってきたタオルで拭いた。


髪はドライヤーで乾かすしかないけど、体は拭かないと嫌な感触に襲われるので、髪以外の体全体についた水滴をぬぐい取る。


そしてタオルとともに持ってきた着替え用の服をすぐに着る。


と、不意に近くにあった鏡と目が合った。


鏡に映るのはもちろん自分。


まだ完全に乾いていないびしょ濡れの髪に、今の私には似合わないガーリーな服。


理子ちゃんが昨日着ていた服に雰囲気が似ているな、なんて思う。


洗面所に移動し、そこに設置されているドライヤーで髪を乾かす。


髪を乾かしはじめた数分後、向こうのほうからなにかを動かす音が聞こえてきて、意識をそちらに向ける。


クローゼットを開ける音じゃない。


だとすると、その音は蘭子が起きて出たわけではなく、沖田くんが起きて出たのだろうと推測できる。


もう起きたのかな。


そう思うと、なぜかさみしさが込みあげてくる。


べつに恋人同士でもないのに。


これ以上考えたら絶対にダメだ。


自分のためでもあるけど、沖田くんファンの子たちに恨みを持たれないようにするためだ。


ブンブンと首を横に振り、今まで考えていたことを頭の外に追いやる。