こくん、と力強く首を上下に振った。


一生誰かに恋しなくても、私は末那や蘭子たちに囲まれているだけで幸せだもん。


今はまだそう思っている。


「たぶん沖田くんが好きな子は私じゃないよ。好きになるなら末那みたいな子だよ」


「茅乃、本気で言ってるの⁉︎ ちょっ、嘘でしょ⁉︎」


「いや、本当にそう思ってるよ。仮に好きな女子が私じゃなくても、私は蘭子のような友達がいるだけで幸せだからね」


目を見開いて驚きをあらわにする蘭子に微笑むと、蘭子の表情が変わった。


「茅乃……マジいい友達だよ! もし沖田くんが好きな女子が茅乃でもそうじゃなくても、茅乃は私の永遠の友達だもんね!」


よかった。


蘭子が私のことを友達だと思ってくれて。


私には仲間がいる。


それだけで心強くなるのだ。


不思議な気持ちだけど、友達がいるのはこんなにも心強いものか。


だから今は恋愛のことを考えなくてもいいの。


今だけは……。