影と闇

ものを買わされた当時はどうだろうかと思ったけど、今それを使っている。


ということは、叔母さんの言うとおりバッグを買って正解だったんだ。


無理やり買わされたものが役に立つなんて。


スマホにダウンロードしていた最新地図のアプリと同じくらい役に立っている。


ミカだけじゃなくて、叔母さんにもお礼を言わないとな。


今は心の中でふたりにお礼を言うけど、帰ったらすぐふたりに直接お礼を言おう。


いつの間にか閉じていた目を開けて足を止める。


ここはどこだろう。


心の中でのつぶやきに夢中になったせいで迷子になったようだ。


だけど地図アプリがあればわかるはず。


小脇に抱えていたバッグからスマホを取ってアプリを開く。


と、そのとき、うしろからバシャバシャと雨に強く打ちつけられている地面を踏む音が聞こえてきた。


今さら驚きなんてない。


うしろを歩いている人も急いでいるんだろうなと思うだけだ。


雨音と足音に耳をかたむけながらスマホを操作し続ける。


スマホにサウンド設定をしてないけど、音を出す設定にしても負けてしまうくらい雨の音は強かった。


弱くなっていくことを知らないみたいで羨ましい。


やまない雨音に嫉妬心を抱いてしまう。


「いいな……」


操作する手を止めて、大量の雨を降らせる空に向かってつぶやく。