影と闇

隠しきれない裏の気持ちに気づいてながらも、知らないフリをする。


肩に手を置かれて理子ちゃんに言われたのが原因か、蘭子がやっとで息を吐きだした。


「ふぅ、わかった。阪口がそう言うなら仕方ない。茅乃、なにがあっても絶対に来て！」


力なく吐きだされた息とは裏腹に、力強い口調の蘭子。


私はすぐにうなずいた。


私の姿を視界に入れたあと、蘭子は理子ちゃんを連れて外へと駆けだした。


また安堵の息が漏れるが、今はそんなことをしている場合じゃない。


ファッション雑誌を何冊か買って、すぐに走って集合場所まで行くんだ。


再びうなずき、雑誌コーナーに陳列されている雑誌のうちの数冊を手に取ってレジに持っていく。


そのときにレジに立っていた店員さんが私の顔をチラッと一瞬だけ見たが、パッと目をそらして会計をする。


店員さんに言われた金額がちょうど財布の中にあったので、その金額を店員さんの前に差しだす。


差しだした金額を細かく確認していき、それが正確だと判断すると、少しだけ口角を上げながら「ありがとうございました」とつぶやいた。


感謝の気持ちを私に伝えたかったかもしれないが、今の私にはその気持ちを返す余裕がなかった。


急いで外に出る。