──んで。

それを叶えるためには、まず、この男をどうにかしないといけないわけで。



「そういえば、花音の家って大町の方だったっけ? 俺んちの方向と同じだから、今日一緒に帰らねぇ?」

「えっと……刹くん、部活は……」

「ああ、まだどこに入るか決めてねぇし。とりあえず今日は見学もなし」

「そ、そうなんだ」



今私の目の前には、会話をするふたり。とはいえ、傍から聞いていてもそれが一方的であることは明白だ。

ここ最近飽きるほど見てきたいけ好かない笑顔を浮かべる男に、私のイライラは着実に積もっていく。


放課後になって下校しようと、ちょうど1階の渡り廊下を歩いていた私と花音。それをこの男──進藤 刹が、目ざとく見つけてきたのだ。

ああもう、こんなことになるんだったら、職員室に寄ったりしないで、花音を連れてさっさと学校を出ればよかった。

ちなみにこの男、何をやらせても人並み以上のスポーツ万能らしく、今現在あちこちの体育会系部活から入部の依頼があるらしい。滅びればいいのに。