どうか、彼女の恋の結末が

しあわせなもので、ありますように。



「……それでね、しおちゃん。奏佑先輩が、海に連れて行ってくれる約束をしてくれたの」

「そっか。よかったね、花音」



私が心からの気持ちでそう言うと、目の前で頬を紅潮させながら昨日の出来事を話していた花音は、とてもうれしそうにうなずいた。

そんな彼女の様子に、私の方まで笑顔が移ってしまう。



「あ、でも花音。ここから海水浴場って、かなり遠いんじゃなかった?」

「うん。だから先輩は、泳げるところではないけど、ちゃんと海が見えるところに連れてってくれるんだって」

「へぇ」



やるじゃん、ソースケ先輩。

ハズさず女子の好きそうな場所に連れて行ってくれる男は、ポイント高いわー。

頭の中で勝手に『ソースケ先輩』の批評をしていた私は、ニコニコと楽しげな様子で自分の席に座る花音に、ちらりと視線をやる。

今は、1限目を終えた休み時間だ。私はいつものように、花音の前の席にいる男子の椅子を勝手に拝借している。