「……『あったかいところ』」

「え?」

「先輩の体温が、意外に高くて……こうしてると、すごくあったかいところが──……わたしの、11個目の秘密です」



言いながらわたしは恥ずかしくて、さらにまた、隠すように顔を埋める。

ふっと耳元で、彼が笑ったのがわかった。



「なるほど、それは──花音ちゃんしか知らない、秘密だ」

「ッひゃ」



両頬を挟まれて無理やり顔を上げさせてから、ちゅっとひたいに口づけられる。

至近距離でふわりと微笑む先輩に、わたしの心臓はもう破裂寸前だ。

わたしはモゾモゾ、彼の腕から逃れようと、控えめに体を動かし始める。



「せっ、先輩もう、帰らないとっ」

「あれ、残念。こっからがイイトコなのに」

「……?!」

「ふふ、冗談だよ。かわいいねぇ、花音ちゃんは」



先輩の一挙一動に思いっきり動揺するわたしに、今度は頬に音をたてて口づけた。

うー、とそんな先輩をうらめしげに見ながら、わたしは両手で熱い頬を押さえる。