予想は確信へと変わった。そのメロディは確かに、今自分の目の前にあるドアの向こう側から聞こえてきている。

好奇心に完全に負けていた俺は引き戸に手をかけ、そっと横に引いた。

とたんに眩しい日の光が顔に当たって、その刺激に思わず目を細める。


まず視界に映ったのは、窓から射し込む光を反射する黒いグランドピアノだ。

それから、ピアノとは対照的に真っ白なセーラー服を着た、髪の長い女の子の姿。

彼女がこの音色の正体かと理解しながら、よくよくその女の子の顔を見てみると──。



「(あれ……?)」



彼女がこちらに気づいている様子はない。

そしてなおもピアノを弾き続けているその横顔には、見覚えがあった。

そう、たしか、2日ほど前に──……。



「……花音ちゃん?」