「……どーも」



うわ、何がどーもだよ。正直会いたくなかったよ、こいつ。

頭の中ではそんなことを思いながら、基本的に波風をたてずに生きたい俺は、顔に笑みを貼り付けてしまう。



「なんか、久しぶりに会ったね。同じ校内にいても、会わないもん──」

「いーっすよ、そういうの。俺、馴れ合いとか嫌いですから」



ピクリ、浮かべたはずの笑顔がこわばる。

目の前の後輩は、なんだか敵対心剥き出しで、両手をスボンのポケットに突っ込んでいた。

……クソ生意気だなこの1年。



「ああ、そう。そうだね俺も、きみのことはあんまり好きになれそうもないかな」

「俺はもうずっと嫌いですけどね、アンタのこと。まあ、主に花音絡みで」

「は……?」



バチバチ、俺らの間には、傍から見たら火花が散っているんだろう。

俺はもう笑顔なんかかなぐり捨てて、ただ目の前の男を睨みつけた。



「アンタ、馬鹿っすよね。うじうじ昔のすきな人引きずって、あんなにいいコを、切り捨てて」

「………」

「ほんと、馬鹿です。俺だったら、目一杯、大事にしてやるのに」