「……花音ちゃん、は……」

「この後に及んで、自分の気持ち誤魔化すのはナシよ。もしかして、自覚なかったの?」



ベッドに腰かけ、視線を床にさまよわせる俺に、まどかはなんだか呆れたような表情をしてみせた。

そうして、右の人差し指でツンと、俺のひたいを小突く。



「バッカねー、そーちゃん。あんたにとってあのコが大切な存在なのは、傍から見ててモロバレよ?」

「モロバ……」

「こないだ、偶然会って話したときだって」



スラスラ話すまどかを、俺は情けない顔で見上げる。

その視線に気づいて、彼女はふわりと笑った。



「……あのとき。あたしから守るみたいに、あんた花音ちゃんの目の前に立ってかばってたでしょ?」

「──ッ、」

「あの子のこと、ちゃんと大事に、してるみたいだったけど」



──違う?、って。

疑問形ではあるけれど、どこか断言しているような、彼女のそのセリフに。

呆然としながらも、俺はようやく、口を開いた。