……ああ、どうしよう。

こんなのって、なんだか、まるで。


おそらく赤くなってしまっているであろう顔を隠すためにうつむいたわたしに、気づいた先輩が足を止めた。

それに倣って、わたしも立ち止まるけど……だけど顔は、上げられないまま。

花音ちゃん?、と、斜め上から、先輩の声がした。



「どうしたの? 具合悪い?」



無言で、また首を横に振る。

再度確認するように、名前を呼ばれて。わたしはゆっくりと、口を開いた。



「あ、あの、えっと……」

「うん」

「は、はず……恥ずかしくて」



思わずどもりながら、なんとかそれだけをしぼり出す。

一瞬の無言の後、ふっと頭上から、小さく息をこぼすような気配がして。

それが先輩の笑みだと、気づくより先。ふわりと頬に、あたたかい手が添えられた。