「せっかくだからさ。花音ちゃん、これからどっか行きたいところとかある?」

「え……」



こないだドタキャンした海はさすがに無理でも、街の方に遊びに行くくらいはできる。

そう思って俺が訊ねると、彼女は黙って、うつむきながら何か考え始めた。



「(え……そんな考え込むようなことか?)」



何だろう……プリクラ撮りたいとかだったら、俺あんまり得意じゃないんだけど……。

流れる沈黙に、少しだけ焦り出しそうになった頃。

ようやく、彼女が顔をこちらに向けた。

その表情は、どこか緊張しているようなもので。



「……あの、わたし……」



そして次に彼女の口から飛び出した言葉は、俺にとって、非常に予想外のものだったのだ。