「まどかおまえ……ほんといい歳の女としてどうかと思うぞ。いろいろ」

「あーもーうっさいうっさい。アンタは姑か」

「しゅう……おまえが、だらしなさすぎるんだろーが」



うっとうしい、と言わんばかりにちょいちょいと左手を振り、もう片手では耳を塞いでみせる彼女に対し、俺も負けじと呆れ顔を向けた。

しかしまどかはそのまま、この部屋に居座ることに決めたらしい。

そばにあったカラーボックスからマンガを取り出すと、ベッド上でうつぶせに寝転んで読み始めた。



「………」



そんな彼女の様子を、椅子に座ったまましばらく無言で見つめてから。

俺は、ぽつりとつぶやいた。



「……まどか」

「ん~? なに~?」

「……俺、彼女できたから」



その言葉に、ふっとまどかが、顔をこちらに向ける。



「へー。よかったじゃん、とうとうサッカー馬鹿のアンタにも、春が来たかぁ」

「………」

「あ、じゃああたしがこうやってそーちゃんの部屋に入り浸ってるのは、彼女さんに悪いか」



そう言って彼女は軽やかに体を起こすと、ベッドから下りて立ち上がった。

そしてマンガをカラーボックスに戻すと、俺のそばまで来てにっこり笑みを浮かべる。