……ああ、最低だ。

退屈な英語の授業を受けながら、俺は今日何度目になるかわからない、深いため息をつく。



『あの、先輩。気にしないで、くださいね』



昨日から、ずっと。

電話口での悲しげな花音ちゃんの声が……頭から、離れないのだ。



「(……傷つけたよなぁ)」



テキストにあるジョージだかジェームスだかのイラストの髪を、意味もなくシャーペンで塗りつぶす。

あんなに、楽しみにしていた海だ。突然キャンセルになって、かなり落ち込んだに違いない。

……それも俺の、身勝手な理由のせいで。