「よく撮れてるでしょ、それ。あたしも一緒に写ってるのは、おばさんに協力してもらったのよ。大事にしてよねー」

「ああそう……つーかさ、いくら幼なじみだからってひとりで男の部屋に来て、彼氏は何も言わないわけ?」

「あー、だってアイツも、あたしとそーちゃんが姉弟みたいなものってことはわかってるもん」



何でもないみたいにそう話すまどかに、俺もまたふーん、と興味なさげな返事をして、写真を机の上に置く。


ベッドで熟睡している俺のすぐ横で、カメラに向かってピースサインをする彼女。

その笑顔が、胸に突き刺さる。



「……俺、これから風呂入るんだけど」

「それじゃ、あたしも帰るわー。夜更かししてないで、さっさと寝るのよ」



昔から何度も言われて聞き慣れた、年上目線の言葉。

だから俺も、いつものようにうざったそうに口を開く。



「こっちのセリフ。3歳しか違わないのに、ガキ扱いすんな」

「ふふ、何言ってんの。あんたはあたしの中でいつまでたっても、サッカー好きで生意気なただのガキよ」



肩ごしに振り返りながら笑ってそう言い残し、まどかは俺の部屋を出ていった。

パタン、と閉じるドアの音が、やけに響く。

自分の眼下にある写真を見つめながら、俺は無意識のうちに、強くこぶしを握りしめていた。


……“幼なじみ”なんて。3つの歳の差なんて、全然近くない。

俺にとっての彼女は、昔からいつだって、遠かったから。