言うのが2回目だが、ウワサでは、未宇はモテるらしい。
どうしたらいい!?凄く…なんか、モヤモヤする!とハルとマサに相談したら、
「「誰かと未宇ちゃんが付き合ってたら、どう思うか考えてみろ」」
って、声をそろえて言われた前科がある。
(そりゃ、嫌だけどさあ…)
未宇と出会ってから、1ヶ月半が過ぎて、もうすぐ席替えかも!?ってウワサもではじめている。今、席が変わったら。未宇の隣が、カッコイイ男子だったら?それで、付き合ったら?
(絶対、嫌だ)
そして、未宇と少しだけ話をして、たまに手紙を回して、友達とじゃれて終わる毎日。
変わりたい。
未宇を取られたくない。

ある日、未宇が廊下で友達と話していた。未宇の周りには、未宇を狙っているライバルたちがたくさんいる。
(大丈夫、大丈夫)
未宇が友達と話終わったら、未宇の周りは戦場だ。僕が絶対話しかける!という空気が漂っている。教室でもいいんだけど…未宇と他の誰かが話すのを見ると、イライラして。しかし、戦場では、誰が未宇と話すかで常に争っているようだった。すると、
『ばさばさっ』
未宇が持っていた教科書が何冊か落ちた。
(未宇!?)
チャンスとばかりにライバルたちが駆け寄る。あっ…僕も行かなくては!
偶然、未宇に近いところにいたので、全部取れそうだった。
(いける!)
僕は、未宇の落とした教科書を全て拾った。そして、
「玉野さん、どうぞ」
といって手渡した。
(よしっ。)
周りのライバルたちは、凄く悔しそうにしている。
未宇は目をパチパチさせて、僕を見た。
「えっ、あっ。ありがとー」
僕から教科書をもらった未宇は、ニコッと笑ってこっちを見た。
(ズキューン)
心がなったような気がした。
(僕は未宇のこういう所が…好きなんだろう…)
不意に思った。
「翔くん、前から思ってたんだけどね?あの…玉野さん、じゃなくて、未宇って呼んでほしいなあって思ってたんだ!どうかな?」
不意打ちの名前呼びして発言で、僕は後ろに倒れそうになった。そして、慌てて
「えっ、いいの?」
と返した。未宇は
「うんっ!そっちの方が嬉しいなあ。」
と言ってくれた。
(う、嬉しすぎる…)
「じ、じゃあ、未宇…ちゃんで、いい?」
緊張して、ちゃん付けで呼んでしまった…。
「うんっ、いいよ!改めてよろしくね、翔くん」
また、不意にニコッとする未宇。
(う〜!やったあ!やったぞ!)
本気で嬉しかった。席替えの事なんか忘れる位に。