「なに飲む、なに飲む〜?」
私はあえて、テンション高めで話しかけた。
「んー。暑いけど、ゆずレモンが飲みたいかな」
と翔くんは言った。ゆずレモン、ゆずレモン。翔くんの好きな飲み物は、ゆずレモン。よし、覚えた。
「あっ、じゃあ、私も」
私は、ゆずレモンを数回しか飲んだことがなかったから、翔くんと同じ物を買った。
そして、翔くんが座っているベンチに腰掛けた。
さっきは、翔くんが勇気をだしてくれたから、次は私が。と思っていた。というのは言い訳で、他の女子に取られる前に気持ちを確認したかっただけだった。あわよくば、彼女になりたいなあ、なんてね。選んだ言葉は
「ねえ、このまま…さっきの嘘、ほんとにしない?」
だった。
(さすがにくさかったかな)
「えっ。つ、付き合うって事…」
翔くんはそう言ってきた。
(えっ、にぶくない?)
「僕は、いいけど…未宇、は?」
とも言ってきた。私が告ってるんだから、いいに決まってるじゃん!まじでにぶいね、翔くんって言いたいけど、我慢した。好きな人にむかって、そんな事言えない。ましてや、告白中に。私は、言った。
「私は…好きだよ」
「えっ?」
翔くんの返事は早かった。自分がこんなに大胆で欲張りだって知らなかった。
(恋ってすごいなあ)
とドラマでおなじみのヒロインのセリフを思い出す。ほんとに、今なら共感出来る気がする。
「好き…って?誰が?」
でも、ここまで言っても翔くんは誰が?と聞いてくる。
(にぶいなあ)
思わず言ってしまった。
「あーもう!翔くん、にぶすぎでしょっ!」
翔くんの口から、えっ、と聞こえたのは気のせいだろう。
「私は、翔くんが好きだよって言ったの!」
私ははじめての告白でこんな…大胆なこと言うとは思ってなかった。
でも、翔くんは
「えっ。あっ…僕も、好きだよ。てか、好きになったんだよ」
と言ってくれた。
(り、両思いだったってこと!?)
顔が赤くなるのが分かる。頭が割れそうなくらいドキドキして、翔くんの顔も見れない。
でも、翔くんが笑っているのは分かった。