今日は始業式。中学校までは電車で二駅だ。僕は、制服に着替えて家を出た。
駅について、電車に乗った。
(大丈夫、大丈夫…)
周りには、似たような制服の人がちらほらいる。けど、話しかける勇気なんて、到底なかった。僕は一番出口に近い席の横に立っていた。すると、ドアが開いた。
『どんっ』
誰かがぶつかってきた。しかも、足を踏まれた。えっ?と思って、ドアの方を見た。ぶつかったその子は、長い黒髪の小柄な女の子だった。その子は、ビクビクしているようだった。
「あっ、ごめんなさい…」
そういって、彼女は電車の奥の方に小走りで進んでいった。
彼女は、翔の学校のブレザーだった。小柄な子だから、同い年だろう。だけど、凄く小さかったなと思った。
学校に最寄りの駅に着いた。電車から降りて、辺りを見渡すと、同じような制服を着た人たちがたくさんいた。通勤ラッシュの時間帯とあり、ホームは人で溢れかえっていた。
(あ…)
その人混みの中に、さっきの彼女を見つけた。彼女だけが、一際輝いて見える気がしたが、きっと気のせいだろう。彼女は、同じ制服の女子数人と話しながら歩いていく。その子は翔には、全然気づいていないようだった。