自転車置きの前まで歩いていると、
「ああっ!カンパイするの忘れた…」
と小声で言う未宇の声が聞こえてきた。
聞き逃さなかった僕は
「もう、ひと口も残ってないけど…する?カンパイ」
と聞いてみた。未宇は喜んだようで、
「いいの!?やったあ、しようしよう」
と言った。そして、お互い空になったゆずレモンのペットボトルをくっつけて、
「「カンパイ」」
と言った。
ペットボトルは空だったから、捨てようかと思い、ペットボトルのゴミ箱に行こうとすると、
「翔、それ、くれない?」
と未宇の声がした。僕は
「え?別にいいけど…なにに使うの?」
と聞き返した。
「初デートを記念して、残しておこうかと思って…」
「いいよ、じゃああげる。でも、未宇のをちょうだい」
「わかった!でも、ちゃんと洗ってね?」
こんな会話もあり、ペットボトルを交換した。こういうのが青春かあ…と思った。

家に持って帰って、初デート記念に飾ろうと思った。初々し過ぎかな。まあいいや。