自販機の前についた。
「なに飲む、なに飲む〜?」
未宇が聞いてきた。もちろん自販機は外だから、蒸し暑い感じがする。
「んー。暑いけど、ゆずレモンが飲みたいかな」
僕はゆずレモンが大好きだった。初夏ならまだ、温かいゆずレモンも売っている。
「あっ、じゃあ、私も」
と2人とも、140円のゆずレモンを買った。夏なのに、温かいゆずレモンを。
そして、自販機の横にあったベンチに腰掛けた。
「ねえ、このまま…さっきの嘘、ほんとにしない?」
未宇は一言目にこういった。さっきの嘘?彼女…発言の事?
「えっ。つ、付き合うって事…」
僕はとっさに聞き返した。
「僕は、いいけど…未宇、は?」
ゆずレモンをひと口飲む。さっぱりとしているが、ゆずの甘みもあって、凄く美味しい。いつでも同じ味でいてくれる、ゆずレモンはすごいと思った。
(今気づいたけど、今、青春してるんじゃないか!?)
付き合う?って聞いてる最中…って事は?告白して、返事待ってる最中!?
「私は…好きだよ」
「えっ?」
未宇の答えに僕はすぐ聞き返した。
「好き…って?誰が?」
誰が好きなんだろう。未宇は、誰が…好きなんだろう。
未宇は
「あーもう!翔くん、にぶすぎでしょっ!」
未宇は困った顔をした。んー。と聞こえてくる。
そして、
「私は、翔くんが好きだよって言ったの!」
と言った。僕は嬉しすぎて、なんて言ったのか、うろ覚えだ。
「えっ。あっ…僕も、好きだよ。てか、好きになったんだよ」
と言って、笑った。気がする。