今日は職員会議のため、部活動停止だった。
授業が終わった。次は帰りの会だ。帰る用意をしながら、マサとハルと話していたら、突然、未宇が
「今日、2回目の隣の席を記念して、2人でタピオカミルクティー飲みに行こう!」
と言ってきた。しかし、今日はマサとハルと遊ぶ約束をしていた。でも、それを聞いた、マサとハルは、
「「行ってこいって、デートだぜ?」」
と茶化しながらも、約束をチャラにしてくれた。
未宇は、
「デ、デート!?!?」
と言っていたけど、結構はタピオカミルクティーを飲みに行くことになった。
(これは…は、初デートだ!)

『1回家に帰って、用意してから〇〇町のショッピングモール前に集合ね!そのあと、アイス屋行って、タピオカミルクティー飲もう!』
との事だった。タピオカミルクティーなのに、アイス屋なのか。しかも、その、タピオカミルクティーは、いくらくらいするんだろうか…。飲んだことも無ければ、見たこともない、未知なるタピオカだった。

マサとハルと下校して、家について気づいた。
(私服デートじゃん!)
未宇も私服だが、それどころじゃない。僕は私服がダサすぎる。こんなことなら、買っとけばよかった。持っているのは、小学校の時に来ていた服や、部活動で使う柔道着。あとは、幼稚園の頃のおゆうぎ会のハチのコスチュームとジャージだけだった。どうしよう。さすがにダサすぎる。
こうなったら…急いでハルに電話をかけた。
ハルはすぐに出た。
『おー、初デート男。どうしたどうしたー?』
完全に茶化されている。後ろの方でマサの声もする。2人は遊んでいるのだろう。
『ごめん、ハル頼みがあるんだ』
僕はすぐに本題に入った。僕の家の方が未宇の家より駅から近い(はずだ。思い込みだけど)。多分、まだ未宇は家についていないだろう。急げば、ハルの家に行ってからでも間に合うはずだ。
『服を貸してくれないか』
僕がハルに言うと、ハルは
『もちろん、大丈夫だけど…』
と言ってくれた。今からすぐにハルの家行くわ、と言って電話を切った。とりあえず、いくらいるか分からないので、貯金箱の中身を全て持っていく事にした。全部で、6300円位。
(持っていきすぎだろうか…まあ、いいか!)
全財産をいれたサイフやケータイ、家の鍵などを持って、制服のままで急いで自転車にまたがる。
ハルの家までは自転車猛特急で5分。
途中で何台かの自転車を追い越して、ハルの家に着いた。
「ハル!頼むわ」
着いてすぐにハルに声をかけた。マサもいた。
「任せとけって!初デートはオシャレにキメようぜ」
ハルは持っている中で1番オシャレ(お気に入り)だという服を1式貸してくれた。
「サンキュー!行ってくるわー」
僕はハルに借りた服を着て、また自転車にまたがる。
「頑張れよ!報告待ってるわー」
2人に見送られて、僕は強く自転車のペダルを踏んだ。