春。自分の部屋。桜がふわふわと宙を舞う。
(ついた…)
僕は堂神翔(どうかみはやと)。小学校を卒業してここに引っ越してきた。ここは、前にいた所よりも少し田舎くさい。高い建物はないし、どうも都会とは言い難い感じの場所だ。
引っ越してきたということは、中学校は誰も知ってる人のいないスタートになる。本音をいうと、不安しかない。友達が出来るのか、あわよくば彼女とか親友も欲しい。
(大丈夫、大丈夫。)
不安な気持ちのまま、荷物の封を開ける。中には、卒業アルバムと小学校の時の親友との写真が入っていた。
翔はその写真を手に取った。何も置いていない自分の部屋に、そっと写真を置いた。