「大丈夫?」 ふいにこぼれてしまった言葉を、社長は聞き逃さなかった。 「ん? なにがだ?」 優しい顔で振り返る顔には、やっぱり微かに陰が差している。 「……なんでもない」 「おまえ、最近そればっかりだな。なんだよ。言いたいことがあるならはっきり言え」 しばらく見つめ合うような形になって、心臓が鳴った。 吸い込まれるような黒い瞳と、厚みのある唇をじっと見上げる。 それから思い切って声を出そうとした瞬間、正面から伸びてきた大きな手にグッと口を覆われた。