正気を取り戻して前を見たら、玲がじっとこっちを見ていた。



…なんかついてるかな。
なんて思ってると、玲が口を開いた。



「春陽、よかったね」


玲が目を細めて優しく笑いながら言うものだから、ちょっと、泣きそうになったことは秘密。
絶対からかってくるもん。



「うんっっ」





日曜日がこんなに待ち遠しいのは、多分小学生の遠足以来だと思う。





――――――…

――――…



時は過ぎてお昼休み。


いつものように鞄からお弁当箱をとりだそうとするけど、どこにも見当たらない。

…あ。

そういえば今日、玄関に置いてきたままだったかもしれない。


「…お弁当わすれたぁぁぁ」


「はる、また忘れたの」


実をいうと、先週も忘れてきた。
もう忘れないと誓ったあの日から、まだ少ししかたっていないのに…自分を殴りたくなる。

だけど、忘れたものは仕方ない。



「購買いってくる…」




「はーい、いってらっしゃい」



わたしは重い足をひきずって、購買へ向かった。

そんな中でふと思ったこと。
…新くにあってない。

いつもは嫌というほど女の子といるところを見せつけられるのに…。


…なんでだろ?


違和感を覚えたけど、別に気にすることはないだろうと思って考えるのをやめた。