太陽を眺める時間




桜を見ながら少しウトウトしていた凜は


自分のことをじっと見ている視線に気が付かなかった


するとその視線は目の前まで来て





「俺、庄野光喜(しょうのこうき)。去年は1-9だったよ。目の前の席だからよろしくね。」



そう呟いていた


だが当の凜は音楽を聴きながらウトウトしていたためその挨拶が耳に届かない


ましてやずっとこちらを見ている視線になど気づくはずもなかった


「あの…聞こえてる?」


すると困ったような表情をして机をトントンと優しく叩く


その振動で目をしっかりと覚まし前を向く凜に少し緊張を覚えた




————ん?誰この人……


イヤホンを外しゆっくり口を開く


「あの、何か?」


たった5文字だけの言葉が光喜の耳に溶けこむようにゆっくり耳に響き渡った


表情一つ変えずこちらを向く凜の姿はあまりにも綺麗で反応するまで少し時間が空いてしまうほど。



「……………あの。」


はっと我に返りすぐに言葉を返す


「あ、えっと。俺、庄野光喜です。君の前の席だから自己紹介しようと思って。」


そう言って微笑んだ彼の顔はとても整っていた


短く遊ばせているようにセットされている黒髪

やりすぎず堅すぎない程度に気崩されている制服

風によって運ばれてくるかすかな男物の香水の匂い


誰が見てもときめく様な人だった