今から一年前の夏の終わり。

梅雨が終わり、ジメジメした天気からカラッと蒸し暑い天気に変わった7月。

中学三年で受験を控えた時だった。
中学校生活最後の学年。
結構仲のいいクラスで、楽しかった。

私、中野彩夏。
勉強が大っ嫌いで、遊ぶことしか考えてない女の子。
そして、朝が苦手。
「おはよう、彩夏ー」
「あ、おはようー。」
うちの学校は特殊なのか、廊下はあるけど、普通の廊下じゃない。
言わば、長いベランダみたいなかんじ。
窓も何も無い廊下。
夏は暑く、冬は寒い。
雨も振り込む。
でも今日は快晴だから、大丈夫。
そんな所でうだうだしていた。
「どうしたー、元気ないじゃん」

この子は親友の福富菜央。
背がちっちゃくて可愛いんだ、もう。
一年の時同じクラスで、今はお隣さん。
私との身長差は約15cm。
「また朝寝過ごしたー」
「またか」
そう言いながらクスクス笑う菜央。
「最近、録画が溜まって、なかなか終わらなくてさー」
「やっぱり?」
私たちは好きなアーティストが一緒で、いつも情報交換をしている。
今日も早速、情報がきた。
「あ、そういえば、今日の19時の番組に出るってさ、全員」
「嘘!?マジで!?」
それを聞いた瞬間、目が覚めた。
「観るでしょ?」
「もちろん」

そりゃ、観るに決まってる。
朝からこの話で盛り上がった。