気付けば周りには沢山の人。 握りっぱなしのケータイ。 ふと我にかえった美嘉はケータイを折りたたみ、白いバッグにしまって屋台の周りを歩き始める。 りんごあめ、かき氷、焼きそば、から揚げ…。 祭りというだけはあり、どの屋台にも人がたかっている。 小さい女の子が 「ママ、あれ買って」 と指差すのはチョコバナナ。 それを眺めて母親は 「分かったわ、お兄ちゃんと1本づつね」 と笑顔で女の子に言った。 女の子は嬉しそうにチョコバナナと母親の手を握りしめ、歩いて行った。