そんな訳で、美緒は1人で隣町まで。

たまにはショッピングもいいだろう。

洋服でも見て、気に入ったのがあれば購入して、お茶でもして帰ろう。

そんな事を思い、少し足を伸ばして電車を利用したのだが。

「……」

どうした事だろう、この人の多さは。

まるで通勤時間帯のようなラッシュだ。

座席は勿論、吊り革もすっかり占領されてしまっている。

仕方なく入り口側に立ち、ぎゅうぎゅう詰めの車内で肩を竦めている美緒である。

電車が揺られる度に、目の前に立つ男性の背中が眼前にまで迫ってくる。

終いには。

「やっ…」

竹刀なのだろうか。

布袋に包まれた長物の先端が、美緒の大きな胸をグイと押す。

満員電車の中とはいえ、少し気を遣ってほしいものだ。