秋の月は日々戯れに


そこで、インスタントコーヒーをスプーンも使わず容器から直接カップに入れると、あとはお湯が沸くまでの時間を手持ち無沙汰に待つ。

段々と室温が上がってくると、コンロのそばに立っていることもあって、鳥肌も徐々に治まっていく。

何気なくふうっと息をついてそっと視線を横に流すと


「ひっ!!?」


そこに見えた青白い顔に、喉の奥で引きつったような悲鳴が漏れた。


「照れくささから、必死に目を合わせないようにしているところがまた可愛いですね。そんなところも、流石はわたしの旦那様です」


青白い顔いっぱいに浮かんだ笑顔を、彼は思わず漏らしてしまった悲鳴を飲み込むように口を閉じて、キッと鋭く睨み付ける。


「やめてもらえますか、そうやって突然現れるの。心臓に悪すぎます」


怒ったような彼の言葉に、彼女は「いつだったかのあなたの言葉を借りるならば」となぜだか得意げに口を開く。


「幽霊なんて、皆そんなものです」


確かに、そんなようなことを言った覚えはある、あるけれども、それをドヤ顔で言い返されると無性に腹が立つ。