「今はここがわたしの家で、あなたのそばが、わたしのあるべき場所です」
また唐突に何を言っているんだと思ったが、リスみたいに膨れていた頬が緩やかに弧を描いていたから、それをまた膨らませるのも面倒くさいと何も言わずにおく。
そうやって黙って視線を外してベッドへと向かったら、後ろからふふっと楽しげに笑う声と「照れましたか?」なんてセリフが聞こえた。
「ふざけた事言わないでください。どこに俺が照れる要素があるんですか」
振り返らずに真っ直ぐベッドへと向かい、手を伸ばしてリモコンを掴むと、室温を二度ほど上げてから今度はテーブルの上にそれを置く。
「大体、ここはあなたの家じゃありませんし、あるべき場所でもありません。それから、その“あなた”って呼び方、いい加減やめてください」
彼女と目を合わせないようにしてテーブルの横を通り過ぎると、キッチンスペースに立ってやかんでお湯を沸かす。
それから思い出したようにテーブルに戻ると、絶対に彼女とは目を合わせないようにカップだけを掴んで、再びキッチンへ。



