秋の月は日々戯れに


おかわりの梅酒をその場で立ったまま飲み始めた受付嬢は、席に戻ることなくカウンター越しに彼と向かい合う。

なんだかまるで、お客と店員のような構図だった。


「奥様は、お元気にしてらっしゃいますか?」


何気ない問いかけのあとで、受付嬢はハッとしたように表情を変える。

なんだか、そのあからさまにやってしまったと言いたげな表情は、逆に可笑しかった。


「多分ね」


どこにいるかは知らないけれど、きっと彼女なら、どこにいても元気にやっていることだろう。

例えそれが、この世ではなかったとしても――。

申し訳なさそうに表情を崩しながら、でもこの表情もなんだか違うなと思い悩んでいる様子の受付嬢を楽しく眺めていると、厨房の方からひょっこりと大将が顔を出した。

手には、湯気の立つ器がのったお盆。

まずは彼に笑顔で会釈してから、当たり前のようにカウンターの中にいる受付嬢の方に向き直る。


「まなちゃん、悪いけどこれ、座敷に運んでくれるかい」