秋の月は日々戯れに


同僚の太鼓判にどれほどの価値があるのかは知らないが、確かに美味しそうな匂いは漂ってきている。


「先輩さんはそれ、烏龍茶ですか?」


グラスを指差した問いかけに「いや、ウーロンハイ」と答えながら、彼もまた受付嬢の手元に視線を落とす。

グラスの中には、梅が入っていた。


「そっちは、梅酒?」


はい、と笑った受付嬢は「美味しいんですよ、ここの梅酒。大将の手作りなんです」とグラスを掲げて見せた。


「へー。俺も飲んでみれば良かった」


「あっ、じゃあ持ってきますよ。お湯割りですか?それともロック」と早速腰を浮かせた受付嬢を、彼は慌てて止める。


「俺、あんまり強くないんだよね。だから今日はこれでやめとこうと思って。せっかくの休みに、二日酔いで一日中ベッドの上なんて虚しすぎるだろ?」


浮かせていた腰を元通り椅子に落ち着けた受付嬢は「では、またの機会に」と笑みを浮かべた。


「そっちは、もしかして結構強い?」


見た目的には弱そうだが、人は見かけによらないもの。