突然聞こえてきた夕飯の献立に、彼も同僚もほとんど同時に、似たような困惑顔で彼女を見やる。
「……なんなんですか急に。それ、今言わないとダメだったんですか」
彼の方を向いて頷いた彼女は「今でないとダメなんです」と答えて、今度は同僚の方に向き直る。
「というわけなのですが、夕飯を食べてからお話するのと、話が終わってから夕飯にするのと、どっちがいいですか?」
「えっ……あたしが決めるの?」と困惑を深める同僚に、彼も視線を移す。
目が合うと、同僚の肩がビクッと大きく揺れた。
「いや、あたしは、その……なんなら、今日はこの辺でお暇しようかなあ……なんて、思って……みたり」
視線を逃がしながらまたもごもごと口を動かす同僚に、彼女はテーブルを飛び越えんばかりの勢いで大きく身を乗り出す。
「大丈夫です!今日は顔が怖いから、怖気づいてしまう気持ちも分かります。でも心の中では、あなたの事を最大限に心配しているんです。この眉間のシワは、心配の現れです!」



