彼女が雪に釣られて離してくれたおかげで空いたもう片方の手も、また捕まる前にポケットに入れて暖をとる。
まだ温かいコーヒーの缶が、冷え切った彼の手を温めた。
「じゃあ、小さいのでいいです。二つ作って、夫婦雪だるまということで、邪魔にならなそうなところに飾りましょう」
「却下で」
「なんでですか!」
“そもそも夫婦じゃないからです”といういつものセリフは、いつも通り過ぎて口にするのも面倒くさかったから、彼は怒れる彼女を無視して歩き続ける。
冷たくなりすぎた手は、温かくなってくると次第にジンジンと痺れ出す。
「分かりました。そんなに雪だるまが嫌いだというのなら、雪うさぎでも構いません!夫婦雪うさぎ」
「なんにも分かってないじゃないですか。雪だるまだからじゃなくて、夫婦だから却下してるんです」
「なぜ今更そこを否定するんですか!あの時は何も言わなかったのに」
同僚も一緒だった“あの時”を引き合いに出して、彼女は悔しそうに言い放つ。



