「行ってきます!」

「「行ってらっしゃーい」」

朝食を食べ終えると、歌は荷物を掴んで速攻で家を出ていった。

足速いな、さすがサッカー部エース。

「結々ちゃん、私たちもそろそろ行こ?後片付け手伝ってくれる?」

「いいよ、お安いご用」

後片付けを済ませて、いろいろ支度をしてから家を出た。

今日から、二学期。

まだまだ休まないよ!とでも言うかのように仕事をしすぎている太陽にうんざりする。

私の妄想みたいに、隕石が降ってきて学校を壊したり、王子さまが私を迎えに来ることもない。

いつもの朝。

「ねぇ結々ちゃん、あれなに?」

「え?…何あれ?」

高校の校門の近くに人だかりができていて、黄色い悲鳴が飛び交ってる。

そのほとんどは女子。
近づいていく子や、遠巻きに眺めている子と様々だ。

「なんだろね、あれ…中心にいるのは男子みたいだけど…」

「わかんない…あ!夜々、もしかして中心にいる男子がすごいイケメンなんじゃない!?」

「結々ちゃんの思考はどうしてもそっち方面に走ってくんだね…一応言っとくけど、見に行かないからね?」

「えぇ!?ねぇ夜々、ちょっとだけ!ちょっとだけでいいから!」

「だーめ。見てたらチャイム鳴っちゃうよ」

「えぇ…いいもん、教室入ったらふて寝してやる」

「結々ちゃん…」

夜々が呆れた目でこちらを見てるけど気にしません。

いいです、教室入ったら妄想にどっぷり浸かるから…