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2, ピエロ



ザワッ

急に周りがうるさくなる。
ヒソヒソと話す声。
驚いたような顔をする者。

和式の居間に約百名ほどの満月の存在が集まるのは私達のアジトでありピエロの家。

ずらりと並ぶ机に行儀よく座る満月の存在たち。
どうやら、遅れたのは私だけだったようだ。

囲まれた机のど真ん中に私は転移してきてしまったようで。
後ろからの視線が少し痛い。

……ということは、ピエロだろう。

カタンッカタンッカタンッ

『お久しぶりです、ピエロ。
この数ヶ月の間に随分と老けたようで。』

そんな嫌味をこぼしながらニッコリと微笑み座った。

ピエロ「お前というやつは……。
この場に来ても我への接し方は変わらないというわけかね?
……まぁ良い、お前が来ただけでも今日は珍しい日だ。


よく来た、月の悪魔。」

ピエロが私を歓迎したことに驚くのは無数の満月の存在。

おそらくピエロと私の仲が近いのが原因だろう。
ピエロに物申せるのはここでは私以外に誰もいない。

座るべき場所へ座ると、ピエロが口を開けた。