兄貴は苦しんでる。
俺の母親を殺したことで。

そして、これから俺が裏に入るかもしれないっていう恐怖もあるんだろう。





「あいつは…苺さんは……
誰よりも最低だったけど、誰よりも寂しい人だった。」





兄貴は目を閉じて静かに語る。
きっと、俺が2度と会うことのない母親に対して、悪い感情を持たないようにゆっくりと。





「さて。
ここまでの話を聞いて、あなた方には選択していただかなくてはなりません。」






重くなってしまった空気を一括したのは、やっぱり兄貴で……

選択するってのは、表にいるか裏に入るかって話で…。




「普段なら裏入りしても、バレなければ表舞台にいられる。

けど、今回の場合。
全員が裏に片足を踏み入れた状態だ。」




千里が淡々と語る。
その空気は、族なんか比べ物にならない。