マスターが、私だけではなく健斗君の名前も呼んだことにびっくりした。
「え? オレのことも知ってるの?」
健斗君が驚いている。
マスターは私の右手をそっと包み込むように持ち上げて、ちゃんと『二人』に話してくれた。
「戻ってきてすぐ、アンドリュー王子が伝書鳩を飛ばしてくれたので、だいたい理解している。その伝書鳩に、サーヤはまだ生きているから急いで沙也を連れてくるようにと、手紙を持たせたのだ」
……この世界は、まだ電話はおろか、電気すらないということはわかっていた。
だから伝書鳩が大活躍なんだ。
そして、お医者様より呪術に頼ったりするのかな?
少しずつ、私もこの世界のことを理解していた。
それと、マスターはサーヤ姫のことを呼び捨てにしてることにも気づいた。
師匠と弟子だから、当然なんだ、きっと。