馬車は先ほどからずっと、森の奥を走っている。
健斗君はどうやら寝ているらしい。
目を閉じて一言もしゃべらずにいるから。
私も一瞬、うとうとしていたみたいだったけれど、ゆれが大きくなって目が覚めた。
それに気づいたのか、ずっと静かだったアンドリュー王子が、ようやく口を開いた。
「サーヤ姫は、我が国一の偉大なシャーマンと共に、修行に励んでいた。四年間、ずっと修行の毎日で、その間世間からは隔離されていたのだ。やっとサーヤ姫を見ることができた時、我は恋におちた。五年ぶりに見たサーヤ姫は、輝くばかりの美しさで、神々しい舞を披露した。妹のような存在だったはずなのに、もう、妹ではなくなっていた。是非、我が妻に迎えたいと、強く願ったのだ」