気持ちのいい朝。ふかふかのベッドで、私は寝返りをうつ。
「沙也ちゃん、目が覚めた?」
「……あとちょっと寝かせてよぉ」
答えてから気が付いた。
私は確か、健斗君の離れの和室で寝ていたはず。これは明らかにあのお布団とは違う。
今、私に声をかけたのは、健斗君。しかもこのくぐもった声は……。
跳ね起きて、右の手首を見たら。
……い、いたよ。健斗君。
手首の真ん中、ちょうど、時計をつけるあたりに!
しかも、人面瘡になって!
「ぶわっはっはっはっはっ!」
「……そんなにおかしい?」
「うん。おかしい。もう、笑うしかないんじゃない、この状況だもん」
健斗君だけがおかしかったわけではないんだよ。
だって、私が今いるこのお部屋、すごいんだもん。
きっと、お姫様の寝室ってこんな感じだと思う。